“ベトナム人実習生 メリット”
とグーグルで検索すると、“クミアイ”がズラーっと並んでいます。それぞれ実習生を受け入れるとこんなにいい事がありますよ。と説明していると思います。実際、企業側がベトナム人実習生を受け入れるメリットは1つだけです。それは、
“安定した人材の確保”
が可能と言う事だけです。
それも頭数を揃えるだけ。ベトナム人実習生を受け入れた所で企業の活性化にはなりません。最初の数年は目新しい事もあり気持ち的には新鮮な気持ちにはなるかもしれませんが長く見ると活性化になるどころか気苦労の方が多くなる場合もあります。検索で組合が並ぶのは外国人技能実習生制度は“儲かる”からです。儲かりもしない事なら宣伝なんてする必要なんてないです。
目次
ベトナム人実習生 メリットは?と聞かれると
外国人実習生制度を利用してベトナム人実習生に興味がある方もおられると思いますが、
「実際、ベトナム人実習生ってどうなのよ?」
と聞かれると
「び、微妙。」
と私は答えます。私は今までに中国人実習生、フィリピン人実習生、ベトナム人実習生、ミャンマー人実習生、カンボジア人実習生を見れる環境にいました。見てきたというより接する機会がありました。中でも中国人実習生とベトナム人実習生は日本に入国する人数も多いので接する機会もまた多かったです。
私は研修生制度は20数年前から知っていますし実際に実習生を受け入れをされている工場にも足を運ぶ事もありました。今でも実際に受け入れた日本の現場の声を、聞ける機会が多いです。そんな私のベトナム人実習生に対する印象が、“微妙”なのです。とある組合のホームページにのっている、ベトナム人実習生のメリットはこんな感じで書かれていました。
親日的で素直でまじめ、若く物覚えも早い。
アジア人特有の人懐っこい性格ですが、一方でタフな一面を持っている。
積極的で辛抱強く、物事を最後までやり遂げる。
集中力の高い人が多くまた手先が器用で細かい作業にも成果を出す。
ベトナム人実習生のメリットを書かれているのですが、物は言いようだなぁと思うのです。
ベトナム人実習生 メリット
ベトナム人実習生の特徴
ベトナムが親日と言いましても、日本が嫌いではない程度です。これは中国とは違い“反日”を政治的に利用する必要がなかった。なので、ベトナムで日本の援助で建てられた橋等には両国の国旗が分かる位置に表示されていて、この橋は日本とベトナムが協力して建てた橋と言う事をベトナム国民に知らせていく事で日本の悪い印象が緩和されてきたと思われます。
ただ、日本での生活には憧れを抱いているベトナム人実習生は多いのかもしれません。ベトナムの公共サービス、インフラ等はまだまだ発展途上といった所です。交通手段はバイクが多いですが年々車も増加してきているように思えます。
ベトナムも中国と同じ社会主義で共産党の1党支配です。中国と同じように官僚の腐敗は深刻な問題でしょう。お金を持っていれば“無法”とまではいかないでしょうが、賄賂社会で、賄賂を払わなければ病院等もまともな診察は受けれないそうです。病院の先生達も製薬会社と仲がいいらしく、その製薬会社の薬を使えばバックマージンが医者の懐に入る事もあるそうです。もし、ベトナム人実習生が日本で病気になり病院に連れて行かなければならない時、色々聞いてみても勉強になるかもしれません。
「日本とベトナムの病院は違いますか?」
と聞いた時にベトナム人実習生はどう答えるのか?
「同じです。」
と答えるかもしれませんけどね。ベトナムの社会はまだまだ“賄賂”がまかり通っています。警察だってやってるそうですよ。
警察「あなた交通違反してますよ。」
ベトナム人「すみません。これで許して下さい。」
とお札を警察の手に渡す。といった感じです。ベトナムの警察官は高級車が好きなようです。警察の給料では到底買えないはずなんですけどね。
そんなベトナムから来るベトナム人実習生の特徴は、人懐っこい所はありますが、頑なに謝らない時もあるようです。性格は明るい人が多いです。ただ、現場では苦労している所が多いように思えます。
(何を考えているのか理解ができない。)
理解と言うより読めないと書いた方がいいかもしれません。
何度も教えているのにも関わらず間違える。
最初は教えた通りしますが、途中で自分の好きなように変える。
その業界の日本人の感覚ではあり得ない間違いをする。
と、そんな言葉も聞こえてきます。色々原因はあると思われますが、未経験のベトナム人実習生が面接試験に臨む人もいるようでして、送り出し機関はテストの為に練習をさせている場合もあります。面接試験では試験問題を練習しているので、試験に訪れる企業の人も言葉は悪いですが騙される。日本に来て現場で作業させてみると使えない。そんな事もあります。
後は感覚的な事が考えられます。ベトナムと日本は国が違います。国が違えば教育も違いますし、政府に対しての考え方、もちろん言葉、風習、習慣全てが違います。日本とは法体制も違いますし、賄賂がまかり通っている社会でもあります。様々な違いのある国から受け入れるといった認識は必要でしょう。とても即戦力になる人材になるとは思えませんが、毎日、毎日同じ作業を繰り返す職場ならそこそこのスピード感に持って行くことは可能です。
ベトナムの国は若い国です。確か国の平均年齢は30代前半です。しかし、ベトナムでも晩婚化が進んでいるようで、平均年齢も年々上がっていきています。私もベトナムへは仕事で何度か行った事があるのですが、富める者と貧しい者の差が結構広いのかなと思います。その辺りも中国と似ている事は似ています。若い労働力を入れれば気分的にはリフレッシュできるかもしれませんが、若いベトナム人実習生を受け入れれば、また違った気苦労も増える事でしょう。
ベトナム人実習生 受け入れた時に考えなければいけない事
ベトナム人実習生を受け入れるにあたって一番大きな問題は言葉が通じない事です。日本に来る前に数か月ベトナムで日本語の勉強をするのですが、極端な書き方をすれば、日本に来られて話せる言葉はあいさつ程度です。言葉は知っているのでしょうが、日本とベトナムとの感覚が違う。感覚が理解できないまま数ケ月勉強した所でチンプンカンプンな日本語表現になる事でしょう。結局、日本語をしっかりと理解してもらうには日本に来てから受け入れ先がどれだけ真剣に指導、教育をしていくかが大事だと思います。
日本人と根底的に流れている感覚が近いのは中国人実習生の方だと思います。
日本語の習得度は3年間実習の期間がありますが、平均で片言の日本語が聞き取れる程度だと思っていた方がいいです。ベトナム人実習生の日本語の習得度のネックは漢字が分からない事。日本語能力試験がありますが、中国人実習生の場合、N1の資格を持って帰る人もそこそこいましたが、ベトナム人実習生の場合、N3の試験が合格すればいい方です。N2合格となればベトナム人実習生と企業は相当努力された事と想像します。
ベトナム人実習生達が日本に滞在できる期間は決まっています。いかに早い段階でまずは現場の日本語を理解させる事を考えた方がいいでしょう。
ベトナム人実習生受け入れメリット 作業的
毎日、同じ作業ならそこそこのレベルまでは到達はします。ただ、やはり日本語の理解が遅いので、毎日違う作業をこなす現場には向かないように思います。ただ、ベトナム人実習生本人の資質と教える側の熱意で相当変わってくる事は事実です。
ベトナムの面接の時から実習は始まっているのです。
性格は確かに人懐っこい所はありますが、言葉を変えると尻が軽いです。貞操観念は日本とは違う事を日本側が理解をして、ベトナム人実習生に指導しないといけません。特に男女の仲になってしまうと難しい問題も出てきますので、配慮は必要かと思われます。
実際に起こりえる問題
実際、現場レベルだと中国人実習生の方が戦力にはなるでしょう。しかしながら中国人実習生を受け入れるにしても、メリット、デメリット、リスクがある訳でして、企業にとって総合的に判断をして、どこの国から実習生を受け入れるのかは判断された方がいいと思われます。
ベトナム人実習生受け入れメリット 失踪事例が少なくなった
ベトナム人実習生の失踪事例が最近少ないようです。(某送り出し機関担当者談)
この理由は、少し前までは難民申請がおりやすい時期があったようで、その難民申請の許可された書類等の偽造を利用しているベトナム人実習生が多かったそうです。今は難民申請自体が厳しくなってきているとの事。逃げても受け皿がない状態なので失踪事例は少なくなっていると聞きました。
失踪も起きる可能性はあります。実習生が失踪した時は速やかに警察に失踪届を出すこと。そして組合への連絡も必要です。
ベトナム人実習生受け入れメリット ベトナム実習生との接し方
言葉も通じない、感覚もまた違う。そんなベトナム人実習生達を教えていく事は大変です。“クミアイ”がベトナム人実習生達と接する時間はベトナムでの面接試験の時、ベトナムでの講習時(組合によって違う)と日本に来てから日本で行う1ヶ月の講習の時だけだと思います。多くてその程度です。後は企業へ訪問した時に問題があるのか確認するだけです。日本に滞在する期間の大半は企業に任されています。私が見てきた工場の人達はベトナム人だからといって特別な接し方事はしていません。日本人と同じように接しています。“現場”なのでしばしば厳しい言葉も飛び交う事もあるようですが、きちんとベトナム人実習生に理解をしてもらう事が大事なのでは?と思います。
「決して言いたくて厳しい言葉を言ってる訳ではない」
「きちんとした作業をしなければ個人の責任ではなく会社の責任になる」
とある工場ではそういった事を口がすっぱくなるくらい言い続けていると言われていました。ベトナム人実習生達も“日本製”には信頼を寄せている人が多いみたいですが、では、何故日本製が良いのか?それは
“お客様の目が厳しいから”
厳しいお客様の目があるから品質にも十分気を遣う。とそんな事も教えていました。ここはベトナムではなく日本の企業だという事を徹底的に意識させていけば少しずつでしょうがベトナム人実習生達の意識もその企業の品質意識に繋がってはくるでしょう。
生活面ですが、金銭面は中国人実習生と比べるとお金は使うようです。そして、一番困るのが“貞操観念”です。
ある時、たまたま縫製工場の社長とベトナム行きが一緒の時がありまして、ベトナム送り出し機関がやっている日本語学校を見学する機会がありました。学校に着くと日本で聞きなれた歌や日本語を学習している声が教室から漏れていました。日本語学校には壁に様々な日本語等のパネルが貼ってありました。何気なく見ていると、大きなパネルで避妊具の使い方、アフターピル、女性に装着する避妊リングの絵が大きく描かれていました。それを見た、あくまでも私個人の感想ですが、
(これはちょっとなぁ・・・)
と呆然として見ていると日本語学校の講師の方が来られまして、話を聞くとベトナムでも田舎の方は避妊の意識が低いとは言われていました。その辺りも今の日本人の感覚とは“ズレ”があるようには思えます。実際にベトナム人実習生を受け入れている工場の話を聞きましても、無断外泊もあるようですし、特に女性の場合、ボディラインが分かり易い服を好まれる人が多いようです。そして夏になれば肌の露出も気になるでしょう。どこまで注意すればいいのか?悩む所でしょうが、3年間事故や事件に巻き込まれないような指導した方がいいのでしょう。でも指導の仕方には配慮は必要です。
「あなた達がどんな服装で出歩こうが自由ですが、女性と男性の見る感覚は違いますよ。」
そんな言い回しで注意喚起するしか手はないのかもしれませんね。
ベトナム人実習生受け入れのメリット まとめ
ベトナム人実習生が企業にとってメリットになるのか、ならないのかは企業次第です。ベトナム人実習生を受け入れたからといってメリットはないです。この制度の基本に立ち返って人材育成といった考え方で育てていき、5年といったスパンで考えるとその企業にとってかけがえのない戦力になりうる人材はベトナム人実習生にもいます。
最後に
外国人実習生は決して安い労働力ではありません。日本人と同等以上の待遇と組合、送り出し機関への管理費、寮の完備や日頃のケア等、外国人実習生を受け入れれば日本人よりコストも高く、負担も大きくなります。日本人を雇った方が確実に安上がりで楽ですよ。でも、若い日本人は集まらないですよね。最初にも書きましたがベトナム人実習生を受け入れる最大のメリットは人材確保が容易な事です。人材確保は容易なのですが、企業の戦力となりうるかどうかは各企業の担当の方の力量次第です。
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